ここではイロハニコットを作るに至った経緯を交えながら、このホームページの名前でもある「カリントオン」について説明させてください。
カリントオンとは(旧定義)
2019年5月にご縁があって “be 京都” という町屋ギャラリーさん(be-kyoto.jp)で僕の初個展を開かせて頂きました。その時に作っていた「真鍮パイプの音が鳴るトイピアノ的な作品たち」の事をカリントオンと名付けました。カリントオンは簡単に言うと真鍮パイプをチ~~~ンと鳴らすだけの構造なので、1音だけの置物みたいな物から2オクターブほどのトイピアノ型まで、割と自由な形が作れます。
この頃は、真鍮パイプをうまく鳴らせる形を模索していて、あれやこれやと作る毎に形が変わるような試作の日々でした。僕の目標としては、カリントオンを販売出来る物にして、細々でいいのでそれで暮らしていければなぁと思っていました。
ただ、一個一個がハンドメイドなので、実際販売する物を作るとなると、楽器としての魅力やサイズ感、製作に掛かる手間暇や値段設定など、なかなかバランス良く実現できる形を生み出せずにいました。
カリンバとの出会い
そんな感じで悶々としているうちに、世の中がコロナ禍に入ってしまいました。
元々出不精なので、個人的にはステイホーム生活の中でもあまり変わらずカリントオンを作り続けていましたが、やはり日々のニュースを見ていたら滅入ってきますよね。
そこで、ちょっと気分転換にと格安のカリンバを買ってみたんです。そしたら、凄く少ないパーツでシンプルな構造にも拘わらず、しっかりと楽器として完成しているカリンバに感銘を受けました。
このカリンバ用のパーツを使えば、僕でもハンディサイズの楽器が作れそうかも?と思って、いくつか試作してみる事にしました。
そこで、僕なりに感じたカリンバの長所と短所を挙げてみます。
- 長所
- 音源となるパーツがシンプル。作る側としてもこれは嬉しい。
- 単純な構造ながら、音の調律が自由に出来て、ちゃんと楽器として成立している。
- 共鳴が心地良い。音源パーツの振動がボディに伝わり、さらには指先にも十分感じられる。
- 短所
- キープレート(鍵盤板)が多過ぎて、並ぶ間隔も狭すぎる。ここに正確に親指を当てるのってかなり難しいと思う。
- 弾きこなせるようになるまでが難関。多分、何人もの三日坊主の屍を生み出しそう(苦笑)。同梱されていたカリンバの譜面を見ても弾ける気がしなかったし・・・。
4+4配列(しとしはいれつ)の導入
別頁にて4+4配列について詳しく説明していますが、実は以前からカリントオンで4+4配列のトイ楽器は作っていました。ただその時点では、単に楽器のシンプルさだけを考えていて、4つ4つで音を自由に鳴らせば環境音楽みたいで楽しいかな?ぐらいに思っていました。
イロハニコットを作るにあたって、初めて4+4配列の譜面書式を考えて、いくつかの童謡のアレンジ譜面を作ってみました。その頃から、「アレ? ひょっとして、これはイケるかも!?」という、他には無いポテンシャルを感じ始めました。
カリンバのパーツと4+4配列の相性が抜群に良くて、キープレートが並ぶ間隔も広がり、手元を見なくても親指で簡単に弾けるようになりました。譜面の見やすさも手伝って、すぐに曲が弾ける楽しさに自分でも驚かされました。
イロハニコットの誕生
イロハニコットは正確に言うと”変形カリンバ”なんですが、カリントオンで培ってきたノウハウを受け継いだ兄弟機のような存在です。
当初、僕はこのホームページ(kallin-tone.com)を、カリントオン作品の紹介ページとして公開するつもりでした。ですが、イロハニコットが誕生して少し考えが変わりました。
現時点(2021年夏)では、イロハニコットを中心とした4+4配列の楽しさを伝えていくページにしようかなぁと思っています。楽器を弾くのが苦手なはずの僕が、気付けば4+4配列の譜面を見ながら童謡を弾いてるという事実が、僕の方針を変えさせました。
今までカリントオン作品を大小含めて20数種類作ったんですが、完成した時には「やったぁ!」と思っても、その後は正直あまり触っていなかったんです。いくら音が綺麗でも、やっぱり曲が弾けないと楽しくないですよね?(;^ω^)。その長年の課題を突破する何かを、イロハニコットが生み出してくれる気がしています。
カリントオンとは(新定義)
元々「カリントオン」という名称は、当初の僕の製作スタイルであった「真鍮パイプを使ったトイ楽器」という意味合いでした。
ただ、その後イロハニコットを作り出して、現状そればっかり作っています(;^ω^)。なので、今では「カリントオン」=「佐藤四十四が作ったトイ楽器」という意味合いになっています。
何というか、真鍮パイプを鳴らそうが、カリンバモドキであろうが、例えば弦楽器であろうが、楽器の形は何でも良いと思っています。楽器作りに関して言えば僕なんて我流のペーペーですし、もっと良い物を作る方は他に沢山おられます。
それよりも、せっかく見つけた4+4の音の遊び方をいろいろ提案するのが僕の役割かなぁ~なんて思っています。